血管外科
血管外科
血管外科とは、心臓と脳血管以外の、胸の大動脈から手足やお腹の動脈、静脈やリンパ管などの治療をする外科です。生活習慣病の増えている昨今、動脈硬化に関連した疾患が増加し、専門的に治療を行う科が、血管外科です。血管外科として当院血管外科では具体的に、大動脈瘤の診断および動脈硬化で血流が悪くなる下肢の末梢動脈疾患、下肢静脈瘤などの診断・治療に取り組んでいます。血管疾患は循環器疾患と重複しますが、原因となる高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙習慣などを総合的に管理しながら治療を行うことが大切です。当院では血管疾患の予防と早期発見、診断と治療、慢性期における再発防止など、提携医療機関との充実した医療体制のもと行っております。気軽に相談できる“血管外科医”としてお役に立てましたら幸いです。
大動脈瘤(瘤:こぶを意味します)とは大動脈にこぶができる疾患で、瘤はどこにでもできる可能性があります。胸部に出来れば胸部大動脈瘤、腹部に出来れば腹部大動脈瘤といいます。大動脈瘤は、破裂するまで無症状な場合が多く、非常に怖い病気です。そのためかなり大きくなった後に、検診や他の病気の精査中に発見されることの多い病気です。一旦破裂すると、動脈瘤の部位によって胸背部痛や腰痛、腹痛を伴い、また突然死する可能性も高い病気です。一旦破裂すると、手術をしても治療成績が非常に悪くなりますので、症状が無くても、破裂による突然死を予防するために、破裂する前に外科的治療が必要になります。胸部大動脈瘤で5から6cm、腹部大動脈瘤で5cm以上に大きくなってくると破裂の危険性が高まるため、外科的治療が必要です。内服薬で動脈瘤を小さくすることはできません。当院では手術は施行していませんが専門医が診察し関連施設にご紹介します。比較的小さな大動脈瘤や、大動脈瘤の手術後は、高血圧の治療と、定期的(6か月から一年ごとに)な画像検査(エコー、CT等)による経過観察が必要です。当院では専門医が診察に当たります。
主に足の血管に起こる動脈硬化で、末梢動脈疾患とも呼ばれています。
足を栄養する血管が、徐々に狭くなってくる病気で、完全に詰まってしまうと足が壊死してしまい、足の切断も必要になってくる疾患です。
足やお尻の冷感、痛み、しびれなどで脊柱管狭窄症 腰椎椎間板ヘルニアと鑑別が必要であります。歩くと症状が強くなり、休むと治る間欠性跛行という症状が典型的です。動脈硬化。特に喫煙との因果関係が強く、男性に多い病気です。
また糖尿病の既往がある方も重症になる傾向にあるので、注意が必要です。
まずは動脈硬化の予防が大切です。禁煙は症状を悪化させないためにも必要です。
症状が軽度の場合には血管拡張剤や抗血小板剤(血液をサラサラにする薬)を内服し、足の血流の改善を促します。 ただし一旦狭くなった血管が治るわけではないので、薬物治療には限界があります。薬物治療で、症状が改善しない場合など、より重症な場合には、カテーテルを使って、直接狭い血管を、風船で広げたり、ステントという金属製の網上のチューブを血管内に留置して、長期に血流がたもてるようにします。 足の付け根(そけい部)に局所麻酔をして、大腿動脈からカテーテルを刺入し、治療します。
血管の狭い部分の形や、長さ、場所によっては上記の治療が困難な場合があり、その場合には狭い部分や詰まってしまった部分を迂回してその先に新たな血液の道を作ります。 患者さんのご自身の血管を使ったり、人工血管を使ってバイパス手術を行います。基本的に麻酔は全身麻酔となります。
当院では専門医による診察・治療にあたり当たりますので足やお尻の冷感、痛み、しびれ、間欠性跛行症状認める方は一度受診することをお勧めします。
治療前
治療後
足がむくんだり、足の表面の血管がボコボコとこぶ状に浮き出たりといった症状がある場合、下肢静脈瘤が疑われます。下肢静脈瘤は職種や生活習慣などの日常生活に起因して発症する可能性がある病気です。
下肢静脈瘤の発症要因にはいくつかの特徴があり、立ち仕事に従事している方、血縁関係のある家族に下肢静脈瘤の方がいる方、妊娠・出産経験がある方、肥満の方、ご高齢の方などが挙げられます。
下肢静脈瘤の自覚症状としては、足のむくみやだるさ、起床時の腓返り(足がつること)などが挙げられます。むくみやだるさは、朝よりも夕方に感じることが多いです。
下肢静脈瘤が進行すると、赤い皮疹がでることがあります。
さらに進行すると、主に足の内側のくるぶしの近くの皮膚に茶色いシミのようなものができる色素沈着が起こることがあります。
その後さらに重症化すると、強い痛みを伴う皮膚潰瘍が生じます。
下肢静脈瘤の重症度や、静脈のどの位置から血液の逆流が起こっているのかを調べるために静脈の超音波検査(下肢静脈エコー検査)を行います。体の表面に超音波の出る器械を当てて行うもので、痛みはなく身体的負担の少ない方法です。重症例では、超音波検査に加えてCT検査も行います。
下肢静脈瘤の治療には、保存的治療、硬化療法、血管内治療を含む手術療法があります。
保存的治療は生活習慣の改善や弾性ストッキングなどで症状を改善したり、進行を予防する治療です。硬化療法は刺激性の薬剤を静脈瘤内に注入し、静脈を閉塞させる(ふさぐ)方法です。主に細い静脈瘤に対して実施されます。
血管内治療を含む手術療法は血管内焼灼術がメインで行われています。
静脈を焼いてふさいでしまう治療です。細い管(カテーテル)を病気になった静脈の中に入れて、内側から熱を加えて焼灼します。焼いた静脈は、治療後半年ぐらいで吸収されてなくなってしまいます。局所麻酔で細い管を差し込むだけなので、体に負担の少ない低侵襲な治療です。当院ではこれらの全ての治療が対応可能です。
それぞれの治療にはメリットと注意点がありますので、静脈瘤のタイプや患者さんの状態によって適切な治療を選択する必要があります。
下肢静脈瘤自体はそれだけで命に直結する病気ではないため、自分では違和感や異常に気付いていても、病院に進んで行かれる方は少ないものです。
その症状を放置していいかどうかというのは、きちんと調べてみないと分かりませんから、命の危険がないからといって放置せずに、専門医に診てもらうことが重要です。
治療前
治療後